80歳からはじめるピラティス。ゆっくりでも、動ける喜びをもう一度。

「もう年だから、運動なんて無理でしょ」

80歳のBさんは、そう思っていました。
立ち上がるのもゆっくり、階段は1段ずつ休みながら。
けれど、ある日、近所の福祉施設で開かれた”座ったままのピラティス体験会”に参加してから、少しずつ心と体に変化が。

「できる動きだけでいいんだって言われて、ホッとした」
「呼吸を意識するだけで、体がすっきりした気がした」

この記事では、80代の方が無理なくピラティスを始められる理由と、「ゆっくりでも、できることが増える」実感を得るための方法をご紹介します。

80歳からでもピラティスができる理由

80代になると、多くの人が「動けない」ことに不安やあきらめを感じています。
でも、ピラティスは他の運動とは違い、

⭐寝たまま、座ったままでもOK

⭐動きはゆっくり、呼吸がメイン

⭐インストラクターが一人ひとりの体調に合わせて調整可能

という点で、運動が苦手な方にも“安全で効果がある”と医療・介護現場でも注目されているのです。

ピラティスが80代にもたらす実用的な効果

1. 呼吸機能を高め、酸素をしっかり取り込む体へ

年齢とともに浅くなりがちな呼吸。
ピラティスの胸式呼吸は、横隔膜と肋骨を動かし、呼吸筋を刺激することで、
「肺活量を維持する」効果が期待されます。

→「深く吸えるようになった」と感じる方は多く、会話や食事もしやすくなると言われています。

2. 血流がよくなり、冷えやむくみの改善に

軽いストレッチや足の動きでも、血液やリンパの流れが促されることで、
足先の冷えや顔のむくみ、足のだるさが軽減されることがあります。

→ 毎朝の軽い運動としてピラティスを取り入れる人も。

3. 転倒防止と“つかまり立ちしやすい体”に

「ちょっとした段差で転びそうになる」
「立ち上がりがしんどい」——そんな悩みも、太ももやお尻の筋肉を“無理なく使う”練習をすることで、改善が期待できます。

4. 心の落ち着き・自己肯定感の回復

ピラティスは運動でありながら、“呼吸と静けさ”の時間でもあります。
「今、ここ」に意識を向けて体を動かすことで、不安やイライラが和らぎ、気分が前向きになる人も多くいます。

→「できることがあった」ことを実感するだけで、人は元気になれるのです。

80代向けにおすすめのピラティススタイル

種類特徴おすすめ理由
椅子ピラティス椅子に座って、脚・腕・姿勢を整える立ち上がりや歩行の安定に◎
仰向けでの呼吸練習寝たまま胸式呼吸だけでもOK呼吸の深さを養い、気持ちが整う
タオルを使ったストレッチ関節可動域を無理なくサポート四十肩・膝の違和感がある方にも

実際の声|80代の方が語る「ピラティスを続けて良かったこと」

「膝の痛みが前よりマシになった気がする」
「夜、トイレに起きる回数が減った」
「孫に“姿勢いいね”って言われてうれしかった」

こうした“ささやかな変化”こそが、毎日を支える力になります。

90代から始めた人で、「歩き方が以前よりしっかりしてきた」と娘さんに言われている人もいますよ。なので、自分に合ったピラティスを行えば、年齢には関係なく始められます。

安心して始めるためのポイント

✅通える範囲にあるピラティススタジオを選ぶ(送迎付き施設も増えています)

高齢になると移動そのものが負担になりがちです。徒歩圏やバス1本で通える場所にあるスタジオを選ぶことで、無理なく継続しやすくなります。最近は高齢者向けに送迎サービスを行っているスタジオも増えているので、事前に確認してみるのもおすすめです。

✅医師と相談し、無理のない範囲で開始

持病(高血圧、骨粗しょう症、心疾患など)がある方は、運動の種類によっては注意が必要です。ピラティスはゆるやかな動きが多い反面、体幹を使うため負荷がかかることもあるので、事前に医師に相談し、状態に応じた運動プランでスタートしましょう。

✅ZoomやDVDを使って、自宅でゆっくり始める方法も◎

スタジオに通うのが難しい場合は、自宅で始める選択肢もあります。Zoomレッスンや市販のDVD・オンライン動画を活用することで、自分のペースで無理なく取り組めます。特に椅子ピラティスや呼吸中心のメニューは、自宅でも安心して行えます。

まとめ

80歳は、“動けなくなる年齢”ではなく、「ゆっくりと、自分を取り戻すための年齢」かもしれません。

できることから、1つずつ。
深呼吸をして、手を伸ばす——それだけで、体はあなたに応えてくれます。

ピラティスは、あなたのこれからの毎日を少しずつ変えていく、やさしい力。
今できることを、今から始めてみませんか?

参考文献等

本記事を作成するにあたり、以下の資料・サイトを参考にしています。

◆厚生労働省「高齢者の健康づくり」

◆日本ピラティス指導者協会(JAPICA)公式サイト
https://pilates.co.jp/japica/

◆厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf

◆日本健康運動指導士会(JAFIAS)公式サイト
https://www.jafias.net/

◆日本整形外科学会「ロコモティブシンドローム」ページ
https://www.joa.or.jp/edu/locomo/index.html

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